介護事業所がICT化するメリット・デメリット
前回に引き続き、介護業界のICT化についてお話します。
今回は具体的に介護業界のICT化することによるメリット・デメリットについてです。
ICT化のメリット
まずはICT化のメリットについて紹介します。
・業務効率化を実現できる
最も大きなメリットとして事務作業を効率化があります。
事務作業の時間を削減することで、介護サービス業務に集中できる、より時間をかけることができるようになり、
サービスの質も向上することが可能になります。
ICT化の一例をあげると、現場でメモをしていたものをその場でスマートフォンやタブレットで入力できる
記録システムを導入することで入力漏れや二度手間の削減につながります。
また、見守りシステムを導入し、利用者さまの呼吸数、心拍数や眠りの深さ、状態変化を可視化すれば、
夜間見回りの回数の低減や、介護職員の負担軽減ができます。
・情報の連携がしやすい
システムの連携や情報の連携により、介護施設と病院、訪問介護事業所がお互いに業務連携しやすくなるメリットもあります
普段は在宅で介護サービスを受けていた方でも、一時的に病院に入院した場合、訪問診療や訪問看護を利用することになったケースなど、
施設や事業所だけではなく他の機関と連携が必要になる場合はその方の必要な対応などがシステムを介することで
わかりやすく、情報を送る手間も省けるため時短にもつながります。
・データ活用による質の向上
ICT化を進めたことで蓄積されたデータを活用することで、介護サービスの質を向上させることも可能になります。
施設や事業所内、関係機関で残したデータを組み合わせて分析すれば、傾向と対策を考えることができるとともに、
これからの予防策を考えることもできます。
ICT化のデメリット
次に、ICT化のデメリットについて紹介します。
・介護職員への教育が必要
ICT機器を導入するにあたっては、機器を扱う介護職員への教育が必要です。
高齢の職員や、パソコンやタブレットの扱いに慣れていない職員であれば
新しいデバイスの操作方法を覚えることにストレスを感じる方もいるでしょう。
そのため、結果としてICT化に抵抗感を持ってしまい業務効率化が進みにくいことがあります。
こういったケースであれば、最初から丁寧に教える体制を整えることが重要です。
・導入コストが高い
ICT化には当然ながらコストがかかります。インターネット環境が整っていないようであればまずそこから整備する必要があります。
また、パソコンやスマートフォン、タブレットをそろえなければならないため、初期費用がかかってくる点がデメリットとして挙げられます。
しかし、ICTを活用している介護事業所に補助を出すICT導入支援事業もありますので、制度を活用していくことをお勧めします。
ICT導入に使える「ICT導入支援事業」
では、ICT導入支援事業とはどのような事業なのでしょうか。
ICT導入支援事業では、介護事業所の業務効率化を通じて、介護職員の負担軽減を図るために介護ソフトやタブレット端末導入費用の支援を行っています。
支援の対象になるのは、下記の機器です。
介護ソフト
タブレット端末
スマートフォン
インカム
クラウドサービス
他事業者からの紹介経費等
Wi-Fi機器の購入設置
業務効率化に資するバックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)
これらの機器は正しく活用すれば業務効率化や職員の負担軽減に効果があることが実証されているため、
積極的な導入が推進されています。なお、補助上限額は事業所の規模によって設定されています。
令和2年度の補正予算案での補助上限額は、職員が1~10人の事業所は100万円、31人以上の事業所は260万円です。
まとめ
ICTを活用できれば、事務作業の軽減、本来の業務に集中できるなどの業務効率化が実現できます。
また、関連機関との連携が容易になる、蓄積されたデータが活用できるなど多くのメリットがあります。
補助金なども活用しながら、ツールと制度をうまく活用していくことをお勧めします。