親の介護、お金がない…そんな時は?【前編】
親の介護に直面したけど、お金がない…ある程度の年齢になってくると介護問題に直面するという方も多いと思います。
仕事や子どものこと、それ以外にも支出も多くて、親の介護に出せるお金が少ない…と
親の介護費用に頭を悩ませる方もいらっしゃるでしょう。
特に介護施設利用を希望する場合、在宅介護にくらべて多額の費用がかかるため、
費用の捻出をどうするかはとても深刻な問題です。
今回は、介護費用捻出のための対策や負担軽減に繋がる公的制度を3週に分けて紹介します。
親の介護費用はいくらかかるもの?
そもそも、親の介護費用はいくら必要なのか、金額の目安を知らないと判断もつきません。
介護費用には住宅改造や介護用ベッドの購入に必要な一時的な費用と毎月かかってくる費用の2種類があります。
それぞれどの程度かを知っていきましょう。
・一時的な費用の目安
公益財団法人生命保険文化センターの統計データによると、一時的な費用の平均は74万円となっています。
要介護度別の費用を見ると、おおむね介護度が高くなるにつれて一時的な費用も高くなる傾向にあります。
「要支援1」を除くと、平均費用が最も高いのが介護度が1番高い「要介護5」の107万円、2番目に平均費用が高いのは「要介護3」の98万円です。
(参考:公益財団法人生命保険文化センター|2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査)
・毎月かかってくる費用の目安
公益財団法人生命保険文化センターの統計データによると、毎月かかる費用の平均は8.3万円となっています。
2009年が平均7.3万円、2018年が平均7.8万円であることと比べると、毎月かかる費用が高くなっていることがわかるでしょう。
分布を見てみると、毎月かかる費用が15万円以上の場合が16.3%、1万円以上2.5万円未満の場合が15.3%となっています。
必ずしも平均に近い費用負担が発生するわけではなく、個々の状況によって費用に差があることを理解しておきましょう。
(参考:公益財団法人生命保険文化センター|2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査)
介護施設を選ぶと必要な費用はぐっと増える
介護施設を利用することを決めると、介護費用は高くなる傾向にあります。
生命保険に関する全国実態調査(2021年度)によると、在宅介護でかかる平均の月額介護費用が4.8万円なのに対して、
介護施設に入れた場合の月額介護費用は12.2万円です。
在宅介護では、月額15万円以上の費用をかけた事例は全体の5.8%にすぎません。
しかし、施設介護では、15万円以上の費用をかけた事例が30.7%を占めます。
介護費用を抑えたい方は、在宅介護が望ましいといえるでしょう。
在宅介護の場合、月額5万円未満の費用で介護をしている事例は半数近くになります。
しかし、介護施設で月額5万円に抑えている事例は10%弱にとどまります。
施設介護利用の方は、どのように介護費用を確保するかが大切になってきます。
親の介護費用は誰が負担するもの?
親の介護費用を負担するのは誰なのでしょうか?
介護を受ける本人なのか、介護をする人なのかを説明します。
・介護を受ける本人や配偶者が払うケースが多い
基本的に、介護費用は介護を受ける本人や配偶者の貯蓄から支払います。
しかし、本人や配偶者の貯蓄では足りない場合は、親族が支払わなければなりません。
親族が支払う場合、あらかじめ誰が支払うのかを決めておくと、スムーズに手続きが進められます。
介護費用を均等に分担するのか、項目ごとにお金を出す人を分けるのか、
同居人は負担を軽くするのかなど、親族全員が納得できる配分にすることをおすすめします。
・子どもにはできる範囲で親の介護費用の面倒を見る義務がある
子どもは、親の面倒を見る義務があるのはご存知でしょうか?
法律上、子どもは親に対して扶養義務を負うためです。
扶養義務は身体的なサポートのみならず、経済的なサポートも含みます。
そのため、子どもには介護費用の援助が求められるといえます。
介護費用が不足しているのであれば、子どもは自らのお金で不足部分を補う必要があるでしょう。
もっとも、扶養義務は余裕がある範囲内にとどまります。
子どもに経済的余裕がない場合、介護費用の支出を怠っても扶養義務違反にはなりません。
経済的余裕がある限り、子どもは親の介護費用を支出する義務を負います。
施設費用が支払えなくなると保証人に請求がくる
本人が介護施設に入る場合も、基本的には本人の貯蓄から費用を支払います。
しかし、貯蓄が底をつき施設費用が支払えなくなってしまうことも考えられます。その場合は保証人に請求がくるため、保証人が施設費用を支払わなければなりません。
保証人は親族であることが条件であるため、誰が保証人になるのかも事前に相談しておくと良いでしょう。
次週はお金がない場合の費用捻出についてお話します。