親の介護、お金がない…そんな時は?【後編】
前週に引き続きご紹介した親の介護でお金がない場合、最終週になります。
前回紹介した介護施設の種類は様々で、施設によって費用も異なりましたが、
それでも費用が足りない場合はどうしたらいいでしょうか?
今回はその具体策をお伝えします。
親の介護でどうしても費用がない場合の対応策
①生活保護を申請する
生活するのも厳しい場合は、生活保護を申請することも、選択肢の1つとして挙げられます。
生活保護を受給している場合、介護保険料を納める必要はありません。
また、生活保護受給者で要支援や要介護の認定を受けた方は、介護サービスの利用料も支払う必要がないのです。
なお、介護保険の対象外であるサービスは、全額自己負担となるため、利用できるサービスが限られている点に注意してください。
②家族信託 無料相談
法務・税務・不動産・相続に関する難しい問題は1人で悩んでも問題は解決しません
わからないことは家族信託のプロに無料で相談してみるのもいいでしょう。
親のお金があるけど介護費用に使えないときもある!どうすればいい?
親の預金口座にはお金がある場合でも、本人が認知症になってしまうと
銀行口座が凍結されてしまうため、介護費用に使うことができないことをご存知でしょうか?
口座凍結されて親のお金を介護費用に使えなくなってしまうことを防ぐ方法と、
口座凍結されてしまった場合の対処方法について解説します。
①家族信託を利用して備える
家族信託とは、自分の財産の管理を信頼できる家族に任せる仕組みのことです。
家族信託を利用することで、本人の判断能力が低下してしまっても家族が財産管理を行っているため、銀行口座の凍結を防げます。
そのため、親のお金が残っている場合は介護費用に充てることができ、子どもの財産から介護費用を捻出する必要がありません。
なお、家族信託は、財産の持ち主の判断能力がはっきりとした状態でしか契約できません。
認知症と診断されてからは契約が難しくなるため、早めに契約しておくことをおすすめします。
②任意後見制度で備える
任意後見制度とは、家族信託と同じように本人の判断能力がはっきりしているうちに任意後見契約を交わし、
信頼できる人に財産管理を任せる方法です。
裁判所への申し立てが必要なことや財産の利用範囲が限られること、身上保護が可能なことなどが家族信託と異なります。
家族信託では相続税対策や資産運用など、積極的に財産を活用できますが、
任意後見契約では本人にとって必ずしもプラスにならない活用方法は認められていません。
一方、家族信託では財産管理しか認められていませんが、任意後見制度では身上保護も認められており、
介護施設への入居手続きなど日常生活に必要な法律行為の代理も可能です。
本人の判断能力がはっきりしているうちに契約し財産管理ができる点では似ていますが、
その他の点は異なる部分が多くあります。どちらの内容が必要かをよく確認した上で選択してください。
③法定後見制度を申し立てる
家族信託や任意後見制度と異なり、認知症を発症し判断能力が低下した後にできる対処方法です。
認知症であることが発覚すると、銀行口座が凍結されてしまいます。
しかし、法定後見制度を利用することで、銀行口座の凍結を解除できます。
ただし、任意後見制度と同じく、財産の活用範囲が限られているため、積極的な財産活用ができない点には注意してください。
介護サービスへの支払いは問題なくできるため、銀行口座が凍結してしまったら法定後見制度の申し立てをしてみてください
なお、法定後見制度は申し立てをしてから利用開始できるまで、3〜4カ月かかるため、早めに手続きすることをおすすめします。
④応急的に預金を引き出せないか銀行に相談する
どうしてもすぐに預金を引き出したい場合は、その旨を銀行に相談してみても良いでしょう。
全ての場合で引き出すことが認められるわけではありませんが、
場合によっては応急的に預金の引き出しを認められる可能性があります。
すぐにでもお金が必要で、子どもが立て替えることも難しい場合などは、銀行に相談してみるのもおすすめです。
「介護のためお金がない」と慌てないために準備したいこと
介護のタイミングになって、お金がないと慌てるのは、介護でよくある失敗のパターンです。
介護費用のトラブルに巻き込まれないためにも、事前の準備を怠らないようにしましょう。
①家族で介護や財産管理の方針を話し合っておく
家族で話し合っておくことは、介護の準備において大切です。
介護費用がいくら必要になるかは、介護の方針によっても変わってきます。
介護施設利用の検討や財産の管理方法など、介護の計画についても話し合うことが大切です。
特に不動産の管理・処分などは、実態が悪化してからでは遅い場合もあります。
自宅処分は介護資金の方法として有効です。
しかし、認知症発症後の不動産の売却はハードルが上がります。
家族信託を組んでおくと自宅の処分がスムーズになりますが、認知症進行後、家族信託は利用できなくなります。
介護費用の捻出で慌てないためには、事前協議と対策が大切です。
②親とお金や資産の状況を共有しておく
お金や資産状況を、親と共有しておきましょう。介護の方針や負担額は、親の資産状況によって変わるためです。
親の資産が十分ならば、介護費用についてはさほど心配する必要がないかもしれません。
しかし、親の資産のみでは介護費用がまかなえない場合、子どもが負担する必要があります。
親の資産状況を明らかにして、子どもが負担するであろう金額を明確にしておきましょう。
必要金額をあらかじめ明確にしておくと、介護のタイミングで慌てなくてすみます。
なお、仮に親に資産があったとしても、すぐに現金化できるとは限りません。
通常、不動産は現金化に手間がかかります。
資産状況を聞き出す際は、資産の種類にも注意を払いましょう。
まとめ:親の介護のお金がないときは公的制度が助けになる
介護費用の負担は、思いのほか大きいです。特に介護施設利用の場合は、お金がかかります。
介護費用が足りないと感じたときは、公的制度を頼りましょう。
介護費用の負担を減らすための公的制度は、複数用意されています。
ただし、公的制度の利用にあたっては指定の要件をクリアする必要があります。
また、公的制度の利用のみでは介護費用をまかなえない場合もあります。
介護費用の捻出で慌てないためには、事前の準備が大切です。親の資産を有効活用すれば効率的に介護費用を捻出できます。
しかし、認知症が進行すると親の資産は動かしづらくなります。
認知症による資産凍結リスクを防ぐには、家族信託が効果的です。