1月の行事と介護食の工夫
1月は新しい年の始まりを祝う行事が盛りだくさんの月です。
お正月をはじめ、小正月、七草粥の日、鏡開きなど、日本の伝統文化に触れる機会が多くあります。
介護食においても、これらの行事に合わせた食事を工夫することで、利用者の方々に季節感や楽しさを感じてもらえる工夫が求められます。
1. お正月の祝い膳
お正月といえば、おせち料理が定番です。
しかし、介護食では硬いものや噛みにくいものをそのまま提供するのは難しい場合があります。
以下のように工夫することで、安全で食べやすいお正月メニューを楽しんでもらうことができます。
黒豆のペースト: 黒豆を柔らかく煮て裏ごしし、滑らかなペースト状にします。少量の蜂蜜や砂糖を加え、甘みを調整することで、おせちの定番を再現。
紅白なますのムース: 大根と人参を細かくすりおろし、寒天やゼラチンでムース状に固めると、彩りも美しい一品に。
柔らかい伊達巻: 通常の伊達巻よりも卵を多めに使用し、蒸し焼きにすることで、ふんわりとした食感を楽しめます。
2. 七草粥の日
1月7日は七草粥を食べて無病息災を願う日です。介護食では、刻み食やペースト食でも七草の風味を楽しめるよう工夫します。
七草を細かく刻み、お粥に混ぜ込むことで、噛む力が弱い方でも安心して食べられます。
ミキサーで滑らかにした七草粥にとろみを加え、飲み込みやすい状態にするのも良い方法です。
3. 鏡開きとぜんざい
1月11日頃の鏡開きでは、ぜんざいを楽しむことが多いですが、餅は誤嚥のリスクが高いため注意が必要です。
代替案としての餅風ムース: 白玉粉を使った柔らかいムースを作り、見た目は餅に近いけれど安全な形に。
小豆を柔らかく煮てペースト状にし、甘さ控えめのぜんざいに仕上げることで、季節感を損なわず提供可能。
まとめ:1月の行事と介護食で大切なポイント
①季節感を大切にした盛り付け
介護食でも視覚的な楽しさは重要です。
小皿に色鮮やかな食材を少量ずつ盛り付けたり、行事にちなんだ飾り切りを施した野菜を添えることで、食事に華やかさをプラスできます。
②安全と楽しさを両立する工夫
1月の行事食では、利用者の嚥下機能や咀嚼能力を考慮しつつ、日本の伝統や季節感を感じられるメニュー作りがポイントです。
調理の際にはとろみ剤やゼラチン、寒天などの食材を活用し、安全性を確保しましょう。
また、香りや味付けを工夫して、食欲を引き出すことも大切です。
利用者の方々が季節を感じながら安心して楽しめる食事を提供することで、食べる喜びを増やし、生活の質向上につなげていきましょう。